フランスのリール大学病院らの研究チームが、LLM(大規模言語モデル)のハルシネーションが医師の診断に与える影響を検証しました。研究では、意図的に「ニューロカドミウム症」という架空の病名を最有力候補として提示するLLMを使用。その結果、参加した医師41人のうち44%がこの架空の疾患を自身の鑑別診断リストに組み込みました。特筆すべきは経験値による差で、研修歴6カ月以下の医師では69%が騙されたのに対し、6カ月を超える経験を持つ医師は1人も騙されませんでした。研究チームは、AIの誤情報が人間の診断プロセスに無意識に取り込まれるこの現象を「代理ハルシネーション(Hallucination by proxy)」と命名。AI支援により全体の診断精度は52%から61%へ向上したものの、専門知識が不足する状況下でのAI利用には依然として高いリスクがあることを示唆しています。