概要
AIエージェントを活用し、25万行のレガシーFortranコードを科学的妥当性を維持しつつGPUへ移植する、数値検証を核としたワークフローを提案。
詳細内容
### 概要
本研究は、25万行を超える巨大なレガシーFortranコード(気象シミュレーションモデル CReSS)を対象に、AIエージェントを用いてGPU環境へ移植する手法を提案している。科学計算において最重要となる「計算結果の妥当性」を確保するため、検証プロセスをワークフローの中心に据えている点が特徴である。
### 手法とプロセス
AIエージェントが既存のOpenMP領域を特定し、特定の物理状態からダンプデータを用いた単体ベンチマークを自動生成する。その後、AIがOpenACC変換を適用し、生成されたコードと元のコードの実行結果を要素レベルで比較検証する。この自動化されたループにより、大規模コードの移植に伴う人的コストとエラーを削減する。
### 成果と知見
台風シミュレーションの実例において、162個のカーネルを数値的に検証しつつ移植し、アプリケーション全体で5.1倍の高速化を達成した。また、浮動小数点演算や組み込み関数の差異に起因する5つの数値的不一致を検出し、開発者へのフィードバックを可能にした。AI支援移植の成功には、単なるコード生成能力だけでなく、実行状態の再構成や厳密な検証を統合したワークフロー設計が不可欠であることを示唆している。