掲載済み (2026-08-15号)
271 201文字 • 2分

国連の科学者が警告:AIが数十億人の天然資源を脅かしている

原題: UN Scientists: AI Is Threatening Natural Resources for Billions

英語

掲載情報

2026年8月15日土曜日号 メインジャーナル掲載

概要

2030年までにAIの電力消費は3倍になり、水消費量は13億人の需要に匹敵するなど、炭素排出量だけでなく水や土地への甚大な環境負荷が懸念されている。

詳細内容

国連大学(UNU-INWEH)の最新報告書は、AIの環境負荷が「炭素排出量」という単一の指標で過小評価されている現状に警鐘を鳴らしている。報告書はまず、低炭素なエネルギー源への転換が逆に水や土地の消費を数十倍から数百倍に増大させるトレードオフを指摘し、2030年までにAIデータセンターは945TWhの電力を消費し、サハラ以南のアフリカ全人口に匹敵する水を必要とする見込みだとする。負荷の中心は学習時ではなく日常的な利用(推論)にあり、推論が総エネルギー消費の80〜90%を占め、特に動画生成はテキスト分類の数千倍の負荷がかかるという。さらに、AIインフラの90%が米国と中国に集中する一方で、電子廃棄物や鉱物採掘の負荷は開発途上国に偏っており、デジタル・ディバイドを深刻化させる「環境正義」上の不平等も論じている。加えて、「ジェボンズのパラドックス」により技術向上による効率化はコスト低下を招き、結果として利用量と総負荷をさらに増大させる可能性があるため、ガバナンスによる制約が不可欠だと結論づけている。