概要
OpenAIによるエルデシュ予想の反証を皮切りに、AIが数学界に与える「黒船」的衝撃と、問うことの重要性や文化としての数学の存続について現役数学者が深く考察。
詳細内容
本記事は、OpenAIがAIを用いてエルデシュの単位距離問題(上限予想)を反証したという衝撃的なニュースを起点に、数学の変革期を考察している。数学的内容としては、二平方和定理や数論的な代数体の拡大を用いたエルデシュの下限証明を、AIがいかに一般化したかが解説されている。AIは人間が「悪手」として避けていた高次代数体を利用することで反例を見出しており、Gowers氏ら一流数学者はこれを「Annals of Mathematics」誌に値する成果だと評価している。筆者は、AIの「百科事典的知識」と「時間的制約のなさ」がもたらす優位性を認める一方で、「問いを立てること」や「数学の審美眼」といった人間固有の営みの重要性を強調する。また、AIによる粗悪な証明の氾濫やテック企業の商業的インセンティブが数学文化を脅かす可能性に触れ、ライデン宣言などのコミュニティの対応を紹介しつつ、数学を人間が理解するための文化として継承していく必要性を説いている。