概要
AI時代における高度抽象知やデータサイエンスは現代の「読み書きそろばん」であり、知性を特定の専門領域に閉じ込めず社会全体で循環させる構造への転換を訴える。
詳細内容
安宅和人氏が2015年の人材育成議論を振り返り、日本社会における「知の使い方」の課題を論じている。当時、データサイエンスを全学生の基礎教養(年間50万人規模)とすべきとの提案に対し、行政側が「2000人で十分ではないか」と反応したエピソードを引き合いに、高度知性を限定的に捉える日本の風土を批判。欧米では博士(PhD)が「高度な抽象化・問題設定能力を持つ人材」としてテック企業や政府、国際機関など多方面で活躍する「Alt-Ac」の文化がある一方、日本は医学系に偏重し、文系博士の出口が極めて狭い現状を指摘する。AIが実行プロセスを代替する「コの字型社会」では、問いを立て、文脈を読み、意思決定を行う「高度抽象知」こそが価値の源泉となる。学位を単なる教員免許と見なさず、大学・産業・政府間で知を流動・循環させる「知の市場」の構築が、AI時代の国家競争力に直結すると説いている。