概要
AIを用いた新たな解析手法により、DNAを格納するヌクレオソームの85%以上が部分的に開かれた「歪んだ」状態にあり、遺伝子発現を細かく調節するボリュームダイヤルのような役割を果たしていることが明らかになった。
詳細内容
従来の生物学では、DNAはヌクレオソームと呼ばれるタンパク質の複合体に固く巻き付かれ、展開されない限りアクセス不能(オフの状態)であると考えられてきました。しかし、グラッドストーン研究所とArc研究所の研究チームは、AI搭載の計算手法「IDLI (Iteratively Defined Lengths of Inaccessibility)」を開発し、この定説を覆しました。SAMOSAシークエンシングデータをAIで解析した結果、マウスおよびヒトの細胞において85%以上のヌクレオソームが完全に密閉されておらず、DNAの一部が露出した「歪んだ」構造をとっていることが判明しました。研究では、これらの構造に14の異なる状態が存在し、転写因子によって精密に制御されていることも示されました。これは遺伝子制御が単なるON/OFFではなく、ボリュームダイヤルのような階調的な仕組みであることを示唆しており、老化やがん、神経変性疾患などの複雑な病態における微妙な遺伝子活性の変化を理解し、将来的に介入するための新たな基盤となります。