掲載済み (2026-02-28号)
#225 220文字 • 2分

製品は存在しない:AIがソフトウェアを資産から「在庫」に変え、SaaSの経済を破壊する理由

原題: There Is No Product

日本語

掲載情報

概要

AIによる開発コストの激減により、ソフトウェアを「高コストな資産」として長期間償却するSaaSのビジネスモデルが崩壊し、誰でも安価に製造できる「在庫」へと変貌していることを指摘する論考。

詳細内容

Sidu Ponnappa氏による本記事は、現在のSaaS業界が直面している危機を、単なる景気後退ではなく「ソフトウェア経済学の根本的な変容」として分析しています。従来のソフトウェアビジネスは、多額の投資と時間をかけて開発した「希少な資産」を、多くの顧客にサブスクリプション形式で販売し、コストを償却することで成立していました。しかし、AIの台頭によってソフトウェアの構築が容易かつ低コストになったことで、ソフトウェアは希少な「資産」から、誰でもオンデマンドで製造可能な「在庫」へと格下げされました。 記事では、AIが容易に複製できる領域を「ライン」と呼び、標準的なビジネスロジックやCRUDアプリ(HRMSやプロジェクト管理ツール等)はすでにラインの下に沈み、製品としての経済価値を失ったと説きます。顧客は高額なSaaSを購読するよりも、自社専用のカスタムソフトをAIで安価に構築・保守する方が長期的には合理的になるからです。筆者は、多くのSaaSベンダーが直面しているのは価格設定の問題ではなく、「もはや製品(希少価値のある資産)が存在しない」という存続の危機であると結論づけています。