次号掲載予定 (2025-09-27号)
#044 513文字 • 3分

AIがコード書きすぎ問題にはAIで立ち向かえ

概要

AIのコード生成がもたらす品質・セキュリティ問題に対し、AIを活用したパイプラインの強化、コンテキスト管理の徹底、そしてプラットフォームエンジニアによる基盤整備が不可欠であると指摘する。

詳細内容

AIコーディングツールの普及がもたらす「AIがコードを書きすぎる問題」は、品質低下、レビュー負担増大、セキュリティリスク急増という新たな課題を生み出しています。GitClearの調査ではコードの重複や脆弱性が顕著に増加し、開発のボトルネックがコーディングからレビューやセキュリティへとシフトしている現状を指摘。ウェブアプリケーションエンジニアにとって、このAIが量産するコードの管理は喫緊の課題です。 この問題に対し、本稿は「AIにはAIで対抗する」戦略を提唱します。AIが迅速かつ自信を持ってミスを生成する可能性を考慮し、SAST、依存性スキャン、Secret Detectionなどのシフトレフト型セキュリティを組み込んだ堅牢なDevSecOpsパイプラインが不可欠です。さらに、AIを活用したコードレビュー(GitHub Copilot for PRs等)や、Trivyなどで検出された脆弱性に対するAIによる修正案生成・自動PR作成の仕組みを導入することで、人間だけでは対応しきれない量のコードを効率的に管理できます。 最も重要なのは「コンテキストが全てを決める」という思想です。AIを単なるバイトではなく「熟練のプロジェクトメンバー」として機能させるには、Issue、ドキュメント、コード、CI/CDログ、チーム知識といったプロジェクト全体のコンテキストを効率的に与える必要があります。プラットフォームエンジニアは、これらの情報をリポジトリに集約し、Knowledge Graph(軽量グラフDB Kuzuなど)を用いてLLMがアクセスしやすい統合データモデルを構築する役割を担います。 最終的に、Issueの要約、PR作成、コードレビュー、テスト失敗分析といった開発負担を軽減するAIエージェントを導入し、ワークフロー全体のボトルネックを解消します。クラウドLLMのコストとベンダーロックインのリスクも考慮し、特定のLLMに依存しない拡張可能なプラットフォームアーキテクチャの構築が重要です。本稿は、AIと共に進化する開発現場において、ウェブアプリケーションエンジニアがいかにAIを賢く活用し、品質とセキュリティを担保していくかの具体的な指針を示します。