次号掲載予定 (2025-09-27号)
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NotebookLMで議事録作成を95%削減、秋田、札幌市の「Google Workspace」活用の秘訣

概要

導入した秋田県と札幌市は、総務省のセキュリティガイドライン改訂を背景に、生成AI機能を組み込んだGoogle Workspaceを全庁的に活用し、大幅な業務効率化と行政DXを推進している。

詳細内容

秋田県と札幌市は、総務省が推進する地方公共団体向け情報セキュリティポリシーガイドラインの改訂(α'モデル、β'モデルなど)を契機に、Google Workspaceと生成AI(NotebookLM, Geminiなど)を導入し、行政DXを加速させている。人口減少や人手不足といった社会課題に直面する地方自治体にとって、セキュリティを確保しつつ業務効率化と柔軟な働き方を実現することは喫緊の課題であり、両自治体の事例は、全国の自治体にとって重要な先行モデルとなる。 秋田県は、都道府県として初めてGoogle Workspaceを全庁導入し、「α'モデル」を運用開始。将来的な職員数の減少への対応、生産性向上、テレワーク環境整備を目的とし、大規模なPoC(概念実証)を経て導入を決定した。特に、GIGAスクール構想でChromebookやGoogle Workspaceに慣れ親しんだ若年層職員のスムーズな業務移行を見据えた点は注目される。同県はGeminiやNotebookLM、フルマネージド型生成AI開発プラットフォームVertex AIを導入し、独自の生成AI活用ガイドラインも策定。NotebookLMによる音声記録からの議事録自動作成では、作業時間を95%削減するという顕著な成果を上げた。BYOD環境の整備、ハイブリッド会議への移行、チャット中心のコミュニケーション推進など、職員の働き方も大きく変革している。 一方、札幌市は、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、従来の閉鎖的な「αモデル」から柔軟な「β'モデル」への移行を決定。Microsoft 365からの切り替えでライセンスコストを5年間で30%以上削減しつつ、ゼロトラストアーキテクチャを目指す独自ネットワーク「New Work Styleネット」(NEWSネット)を構築した。デジタル文書のリアルタイム共有、共同編集、AIを活用した議事録作成や資料分析が常態化し、創造性と自律性を尊重する組織への変革を提唱している。「札幌市生成AI利用ガイドライン群」を策定し、大規模な職員研修も実施するなど、積極的な活用促進を図っている。 これらの事例は、Webアプリケーションエンジニアにとって、堅牢なセキュリティ要件が求められる公共機関で、いかにクラウドサービスと生成AIを導入し、具体的な業務効率化(例:議事録作成95%削減)を実現できるかを示す。単なる技術導入だけでなく、組織文化の変革、ガイドラインへの適合、コスト削減、そしてユーザー(職員)の習熟度を考慮した総合的なDX戦略の重要性を浮き彫りにする。生成AIがコード生成だけでなく、多岐にわたるビジネスプロセス改善に貢献する可能性を示唆しており、将来のシステム設計やAIソリューション開発において、セキュリティと実用性を両立させる視点が不可欠であることを再認識させる。