次号掲載予定 (2025-09-27号)
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A2A+MCPでデータガバナンス自動化システムを構築してみた

概要

Google Cloud上でA2AとMCPを活用したマルチAIエージェントシステムを構築し、BigQueryのデータガバナンスにおけるメタデータ不足検出や品質管理を自動化することで、年間約170時間の工数削減と高ROIを実現できると示しました。

詳細内容

現代のDX推進において、データガバナンスは多くの企業が直面する課題であり、AIを最大限に活用するための「コンテキスト」整備もデータ把握が前提となります。この記事は、この手作業の負荷から後回しにされがちなデータガバナンスを自動化するため、Google Cloud上にA2A(Agent-to-Agent)とMCP(Model Context Protocol)を組み合わせたマルチAIエージェントシステムを構築した事例を紹介しています。 このシステムは、BigQueryテーブルのメタデータ不足自動検出、AIによる論理名・説明提案、ガバナンススコア算出、品質ルール提案といった主要機能を備えています。アーキテクチャはCloud Runをベースとしたマイクロサービス構成で、親エージェントと子エージェントがA2Aで連携し、エージェントとMCPサーバー間はJSON-RPC 2.0ベースのMCPでデータ(BigQuery、Dataplex)と接続します。特に重要なのは、エージェントが意図しない動作をしないようガードレールを設けている点です。 本システム導入により、データ担当者2名、BigQueryテーブル数300の企業を想定した場合、年間170時間もの工数削減が試算されています。初期投資はかかるものの、2.3年で回収し、3年目には約97.2%の高いROIを達成可能であると定量的に示されています。これは、データ活用の「攻め」を加速させるために、「守り」であるガバナンスをAIで迅速化できる具体的なソリューションとして、webアプリケーション開発においてデータ活用に課題を抱えるエンジニアにとって、実装パターンとビジネス価値の両面で非常に示唆に富む内容です。特に、マルチエージェント連携やMCPといった最新のAIエージェント技術を現実世界の課題解決に応用する具体的なアプローチとして注目されます。