次号掲載予定 (2025-09-27号)
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Cursorはまだ使うな! - テンプレ量産から資産型フレームワークへ -

概要

使い捨てのプロンプトテンプレートによるAIコード生成が長期的なコスト増を招くと警告し、SOLID原則に基づく資産型フレームワークこそが、持続可能な開発とROI最大化の鍵となると説く。

詳細内容

「Cursorはまだ使うな!」という挑発的なタイトルが示す通り、本記事は生成AIを用いた安易な「テンプレ量産」型開発に警鐘を鳴らし、SOLID原則を基盤とした「資産型フレームワーク」への転換を強く提唱しています。マーケティング業界が「勘と根性」からROIによる科学的アプローチへ変貌した歴史をソフトウェア開発に重ね合わせ、生成AIがもたらす「ROI革命」の必然性を説いています。 重要となるのは、生成AIのAPI利用料が現代の「広告費」と同じく明確な投資となる点です。この投資対効果(ROI)を最大化するには、設計段階でSOLID原則を戦略的に適用することが不可欠です。単一責任原則(SRP)や開放/閉鎖原則(OCP)など各原則が、AIへのコンテキスト量を減らし、トークン消費を効率化し、リファクタリングコストを抑制することで、長期的な開発ROIを劇的に改善する具体策として再定義されます。 短期的な成果に目が行きがちな「テンプレ量産」は、使い捨てコードの山と保守コスト増、そして組織学習の欠如を招き、いわば「単利」の投資に終わります。これに対し、資産型フレームワークは初期投資こそ大きいものの、契約(`contracts/`)とプラグイン(`plugins/`)による拡張性、厳格な品質ゲート(`npm run verify`)、そしてADR(意思決定記録)やテスト計画(`testplan/`)を通じた知識の蓄積により、「複利」で価値を生み出し続けると説明されています。 AI時代の開発において、ジュニアデベロッパーの役割も再定義されます。「検証」は単なる雑務ではなく、仕様を具体化し、AIとの安全かつ迅速な協業を可能にする高スキル領域です。彼らが品質ゲートの運用やユースケーステストの作成、小さなプラグインの実装を通じて、プロダクト理解、設計判断、AI活用能力を伸ばす道筋が示されています。 本記事は、短い指示で安全に高速開発を実現するための「AI共創フレームワーク」の具体的な構成要素も提示します。これには、SRP/ISP/DIPに基づくコンパクトなコンテキスト、OCP準拠の拡張ポイント、相関IDとRunbookを用いた障害管理、`npm run verify`によるワンコマンド品質保証、そして「契約→実装→テスト→ドキュメント」の順で進めるプロンプト運用指針などが含まれます。 結論として、生成AIを単なる「高級電卓」として消費するのではなく、まずは「計測(配線)」を確立し、設計を「資産化」するチームこそがAI時代の真の勝者となると説いています。これは、ウェブアプリケーションエンジニアが技術的負債を避け、持続可能なプロダクト開発を行う上で、今まさに取り組むべき生存戦略と言えるでしょう。